The TANAKA Lab

Polymerization Chemistry Lab, Kyoto University

Research

元素を駆使した新素材創出

有機・高分子材料は我々の身近なところから最先端の素子にいたるまで幅広く実用化されています。しかし、周りにある材料を構成している元素は、炭素や水素、酸素、窒素といった、周期表上のごく一部の種類に限られています。これまで有機材料にはあまり使われてこなかった元素を活用すれば、元素の特徴を反映した電子・光・触媒機能、分子認識能などの新しい機能を持った素材の創出が期待できます。そして、マテリアル・バイオの両面で次世代の機能性材料開発ができるとともに、未知の元素の「顔」を見付けることにつながるかもしれません。我々は一人ひとりの自由な発想のもと、それぞれが元素を活用したオリジナルの物質を生み出すことを目的として、精力的に研究に取り組んでいます。

例えば、一般的な有機発光色素はフィルムでは濃度消光により発光しません。最近、ある種の元素錯体や元素含有高分子が、逆にフィルムなど固体で強く発光することや刺激に応答して発光色が変化することを見出しました。そして、元素が発光や刺激応答性に重要な役割を担っていることを明らかとしました。これらの機能を利用することで、これまで検知できなかった極微量の有害物質を検知することや、ウェアラブルセンサーという皮膚上でリアルタイムに体調や疾病を検知することにつながる物質を得ることができました。

また、ポリマーとガラスを分子レベルで均一に混合すると、有機-無機ハイブリッド材料が得られ、ポリマーの柔軟性と無機成分の耐久性を併せ持った材料となります。さらにシリカのキューブ状分子を用いるとデザイン性と機能性を付与することができ、ひっぱると電気抵抗が変わったり、発光色が変わったりする次世代のストレッチャブル材料が得られます。ハイブリッドゲルを用いたセンサーにより、水中のナノプラスチックの蛍光検出にも成功しています。

元素の新しい周期表の探索

メンデレーエフは元素を分類して周期表を作成しました。一方私たちは、励起元素の特性は周期表から予測される物性とは大きく異なることや、時には周期表上で遠く離れた元素間で逆に共通性が現れることを見出しました。また、高校化学の教科書にも記載があるオクテット則を超えて超原子価という状態に元素をおくと、全く予測していない物性が次々に得られました。これらの新しい元素の特性を解明することと、革新的機能材料として役立てるために研究を行っています。

研究テーマ