The TANAKA Lab

Polymerization Chemistry Lab, Kyoto University

ジイミン配位子を用いた機能性発光材料の創成

固体発光性材料

照明やテレビ、スマートフォンなどに囲まれた私たちの生活には「光る材料」が欠かせません。身の回りの技術への応用を目指すと、「固体状態で光る」という機能が重要な要素となります。液体状態では流れ出して使いにくいですよね?しかし、ふつうの有機物は純粋な固体では光りにくいものがほとんどです。私たちは「ジイミン配位子」という有機ユニットと「ホウ素」などの無機元素を組み合わせることにより、固体状態で様々な機能性発光特性をもつ物質群を開発してきました。

ジイミンホウ素錯体は、溶液状態・アモルファス状態ではほとんど発光を示さないのに対して、結晶状態では高い効率で発光するという、珍しい発光特性を示します。これを結晶化誘起型発光(crystallization-induced emission; CIE)特性と呼びます。
この錯体の発光色は、置換基の導入により自在にコントロールすることができます。さらにこの錯体を高分子の主鎖骨格に導入することにより、化学的な刺激に応答してその発光色を変化させることのできる、固体発光性共役系高分子フィルムを合成することにも成功しました。

J. Am. Chem. Soc. 2014, 136 (52), 18131–18139.
https://doi.org/10.1021/ja510985v.
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これだけでなく、ジイミン配位子は別の13族元素であるガリウムとも結晶化誘起型発光を示す錯体を作ります。この錯体の結晶は、決まったサイズの有機溶媒蒸気を選択的に取り込み、その発光色を変化させるという優れた機能性を有しています。

Graphical abstract: Size-discrimination of volatile organic compounds utilizing gallium diiminate by luminescent chromism of crystallization-induced emission via encapsulation-triggered crystal–crystal transition
J. Mater. Chem. C 20164 (24), 5564–5571.
https://doi.org/10.1039/c6tc01819j.
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Chem European J 202127 (36), 9302–9312. https://doi.org/10.1002/chem.202101107.
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このような蒸気応答性が発現するのは、13族元素ジイミン錯体が「やわらかい」ことで様々な構造をとることができる

この他にも、力学的刺激に応答して発光色を変化させる錯体や、13族元素の種類を変えることによって電子的特性を制御できる高分子など、様々な機能性分子を合成することに成功しています。